アッラーの美名と属性への信仰
その意味するところは:その理解と暗記、その認識、それをもってアッラーを崇拝すること、そしてそれが義務付けるところのものを実行することです。アッラーの比類なき偉大さや威厳、栄光、荘厳さといった性質を知ることによって、しもべの心はアッラーに対する畏敬と賞讃の念に満たされるでしょう。
またアッラーの強大さや威力、全てを支配するお力といった性質を知ることで、しもべの心には主に対する慎み深さや謙虚さ、服従の念といったものが充溢することでしょう。
またアッラーのご慈悲やお優しさ、寛大さといった性質を知れば、しもべの心はアッラーの恩恵や慈善、寛容さなどを希求し切望する気持ちであふれるでしょう。
加えてアッラーの知識や、全てを包囲され何事にも通暁されているという性質を知ることは、しもべの心に「いかなる行動も見透かされているのだ」という意識を芽生えさせてくれます。
そしてこれら全ての属性は、しもべにアッラーへの愛と思慕の念、親しみの念などを抱かせるだけでなく、かれのみにタワックル(自らの身を完全に委ねること)させることや、かれのみにイバーダ(崇拝行為)を捧げ邁進させることにも大きく供与するのです。
● 私たちは崇高なるアッラーがご自身に対して認められた美名と属性、あるいはその預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)がアッラーに対して肯定した美名と属性の全てを認めます。そしてそれらとそれらが示す意味や作用を信じます。つまりアッラーが“最も慈悲深い御方”であることと、かれが慈悲を備えられているお方であるというその意味を信じます。そしてこの美名の及ぼす諸作用の1つには、アッラーがお望みになるものにご慈悲をかけられるということがあります。このように、他の全ての美名においても同様の捉え方をしなければなりません。
また私たちはアッラーの美名と属性を意味のすり替えや完全否定、具体的説明の努力や擬人化などの手法に依拠することなく、崇高なかれの荘厳さにふさわしい形において認めるのです。かれ(アッラー)に似たものは何1つない。にも関わらず、彼は全てを聞き、ご覧になられるお方なのである。 (クルアーン42:11)
● 私たちはアッラーのみにその美名と崇高な属性が帰せられるということ、そしてそれをもってかれに祈願するということを知り、確信しています:
1-至高のアッラーは仰られました: そしてアッラーにこそ美名が属するのであるから、それをもってかれに祈願するのだ。かれの美名をないがしろにするような輩は放っておくがいい。いずれ彼らは自分たちが行っていたところのもので報いを受けるだろうから。 (クルアーン7:180)
2-アブー・フライラ(彼にアッラーのご満悦あれ)によれば、アッラーの使徒(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)はこう言いました:「実にアッラーには99の、‐つまり100に1つ足りない数の御名がある。それを数え上げた者は天国に入るだろう。」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承)
● アッラーの美名:
偉大かつ荘厳なるアッラーの美名は、かれの完全な性質を示しています。それらは属性から派生したもので、それゆえ名称と同時に性質をも表しています。これが“美名”と呼称されるゆえんなのです。またアッラーとその美名及び属性に関する研究は、数ある学問の内でも最も高貴で偉大なものであり、かつ人々が早急に知る必要に迫られているものです。以下、偉大かつ荘厳なるアッラーの美名を挙げていきましょう:
・「الله( アッラー ) 」:全ての創造物が崇拝し、愛し、その比類のない偉大さを讃え、服従し、全ての必要をかれに依存しているところの、真に崇拝すべき存在。
・「الرحمن الرحيم( アッ=ラフマーン、アッ=ラヒーム ) 」“最も慈悲あまねく慈悲深い御方”:そのご慈悲は、全ての存在にあまねく行き渡っています。
・「الملك( アル=マリク )」“真の王”:全ての被造物を所有される御方。
・「المالك( アル=マーリク ) 」“全ての所有者”:全ての王国と王としもべを所有される御方。
・「المليك( アル=マリーク ) 」“王権の支配者”:その王国において全ての命令を執行される御方。その御手にこそ王権があり、お望みの者に王権を授け、お望みの者からそれを剥奪される御方。
・「القدوس( アル=クッドゥース ) 」“最も神聖なる御方”:あらゆる欠如や欠陥などから無縁であり、完全な属性でもって表される御方。
・「السلام( アッ=サラーム ) 」“最も平安なる御方”:全ての欠陥や損害、欠如などを被ることから安全であられる御方。
・「المؤمن( アル=ムウミン ) 」“最も平安を与えられる御方”:その被造物に不正を施されることがなく、平安を作られる御方。またしもべの内、お望みの者に平安を与えられる御方。
・「المهيمن( アル=ムハイミン ) 」“最もよく監視される御方”:被造物の一挙一動をご覧になられ、いかなるものもかれから身を隠すことの出来ない御方。
・「العزيز( アル=アズィーズ ) 」“最も偉大なる御方”:全ての強大さを備えられた御方。かれはいかなる者の援護も要されることのない偉大な御方、決して敗北されることのない強大な御方であり、そして全ての被造物が服従するところの威力この上ない御方なのです。
・「الجبار( アル=ジャッバール ) 」“全てを従えられる御方”:全ての被造物の高きにあり、お望みになることにおいてそのしもべたちを従えられる御方。またしもべたちとその状況を改善し発展される、強力な力と比類ない偉大さを備えられた御方。
・「المتكبر( アル=ムタカッビル ) 」“最も高遠なる御方”:被造物の不完全な性質からは無縁であり、ゆえに何ものにも相似されない御方。またいかなる悪や不正からも遠く離れた高遠なところにあられる御方。
・「الكبير( アル=カビール ) 」“至大なる御方”:かれ以外の存在は全て瑣末で卑小である御方。またかれにこそ天地における威光は属しています。
・「الخالق( アル=ハーリク ) 」“創始者”:全ての被造物を無から創造された御方。
・「الخلاق( アル=ハッラーク ) 」“創造主”:創造を行われ、かつそのお力でもって全てのものを創られる御方。
・「البارئ( アル=バーリゥ ) 」“造物主”:被造物を創造され、そのお力でもってそれらを存在せしめられた御方。そしてそれらを互いに異なったものとされ、先天的に清純で無垢なものとされた御方。
・「المصور( アル=ムサッウィル ) 」“造形主”:被造物を長短や大小などにおいて、様々に異なる形に造形された御方。
・「الوهاب( アル=ワッハーブ ) 」“最もよく与えられる御方”:絶えることなく施され、恩恵を垂れ続けられる寛大な御方。
・「الرزاق( アッ=ラッザーク ) 」“全ての糧を所有される御方”:全ての被造物の糧がその御許にある御方。
・「الرازق( アッ=ラーズィク ) 」“糧を与えられる唯一の御方”:糧を作られ、それを被造物に届けられる御方。
・「الغفور الغفار ( アル=ガフール、アル=ガッファール ) 」“最も赦し深い御方”:そのお赦し深さと寛容さで知られる御方。
・「الغافر( アル=ガーフィル ) 」“よく罪を覆われる御方”:しもべの罪を覆って下さる御方。
・「القاهر( アル=カーヒル ) 」“最もよく制される御方”:しもべの遥か上方から、彼らを制される御方。彼らは全身全霊をもってかれにひたすら服従します。
・「القهار( アル=カッハール ) 」“真の支配者”:全ての被造物をお望みのままに服従させられる御方。かれのみが唯一の支配者であり、他の全ての存在はかれに従属しています。
・「الفتاح( アル=ファッターフ ) 」“最もよく開かれる御方”:しもべの間を真理と正義でもって裁かれ、慈悲と恵みの扉を開かれる御方。また信仰者たちを援助し、不可視界の鍵に関する知を専有されている御方。
・「العليم( アル=アリーム ) 」“全知者”:何ものの彼の知から免れることの出来ないような存在。
・「العالم( アル=アーリム ) 」“完知者”:秘められたこともごく些細なことも、表面的なことも内面的なこともご存知の御方。また語られ行われることの全て、及び不可視の領域と可視の領域の知識を備えられている御方。
・「المجيد( アル=マジード ) 」“最も栄誉高い御方”:その御業において栄誉高い存在。またその比類ない偉大さゆえに、全ての被造物がその栄光を讃える御方。かれはその栄誉高さと比類のない偉大さと慈善により、讃美されるべきお方です。
・「الرب( アッ=ラッブ ) 」“真の主”:唯一の所有者、かつ運営者。主の中の主で、被造物を養育される全創造の所有者。被造物の現世と来世における諸事を営まれる、唯一の崇拝すべき存在。
・「العظيم( アル=アズィーム ) 」“比類なく偉大な御方”:その王国と権威において、比類のない偉大さと荘厳さを備えられた御方。
・「الواسع(アル=ワースィゥ ) 」“最も広く行き渡らせる御方。
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